気の流れる方向を知る方法
ここのところ野口整体の頭部や腹部の調律点について、片山洋次郎氏の身体観察法の立場からレビューを書いてきました。
一般的な療術では、基本的にはあるポイントを触った効果は、触っている部分の触覚の変化や、見た目の形の変化からしか図ることができません。
気の流れを重視する野口整体でも、基本は同じです。
片山氏の整体では、施術者自身の身体の内側に起こる感覚の変化を総動員することにより、あるポイントを触った時の波及する力の流れを捉えます。
自分自身に触った時は、もちろん自身の身体の内側の観察するのですが、他人に触った時にも「身体同士は共鳴する」という性質を利用して、施術者自身の身体の内側の感覚をモニターすれば、他者の身体の内側のエネルギーの流れを感じることができます。
誰でも訓練すればこの身体の内側の気の流れを感じることができます。またホームページや当ブログで書いてきたように、この感覚は、日常生活の中で日々感じている感覚の延長です。
片山氏の著作でもセルフ整体での基本的な「気の反応」の記述があります。
身体の内側が温かくなる、
ちくっとする、ジーンとする、疼く、びりっとした電気的な感じ
何かが流れている感じがする
体表がシップを張ったように涼しくなる、内側から外側に抜ける感じ
筋肉が弛む(逆に張ってくる感じがする、)
筋肉がぴくぴく動く。反射運動する
呼吸が深くなって(下腹で自然に呼吸)ほっとする、落ち着く感じがする
頭・首・肩が軽くなる
視界が明るくなる(目頭回りから気が発散して涼しくなる結果そうなる。涼しくなる手前で詰まってしかめっ面になるときも多い)
気は発散する時の反応と集中する時の反応があり、その反応が筋肉にも影響を及ぼし、動きや呼吸の変化として現れます。
外側が涼しくなるのが発散、内側が温かくなるのが集中の反応です。
基本はこのようなものです。体内と体表に感じる感覚と筋肉の反射的な動きを感覚して、そこから「気の流れ」を予想するのです。
私自身も片山さんと同じやりかたで感覚しているのですが、片山氏の初期の著作での、細かな「気の流れの方向」を理解するのに苦労してきました。
というのも気の反応は案外流れというよりも、触ったところからジャンプして違う場所に反応が起こることがほとんどだからです。例えば百会という頭のてっぺんを触っても、触った瞬間に左足首に反応したり、恥骨辺りに感覚が起きたりと、全然違うところに、急に反応が起こるのです。
身体はどのような場所を触っても、自身に必要な場所に気の流れが集まり、自然に動き出す、という意味では便利と言えば便利ですが、流れとして捉えられないと、どのように影響が波及していくのかを読み解くことが困難になるのです。施術の経過の予想をお伝えする身としては、これは初期のころ困りました。
しかしある時、イメージを併用することで、どの方向に「気」が流れているのかを、かなり詳しく把握することができることに気が付きました。
「気」は意識に追随するという性質を利用して意識の「矢印」を立てるのです。
ある場所に「気」の感覚を感じた時に、普通はどの方向に流れているのかは大まかにしかわかりません。普段の生活でも体に風が当たった時、どの方向から風が吹いてきたか、身体感覚だけでははっきりしないでしょう。周りにある何かが風ではためいていたり、落ち葉の動きをみないとわからないのと同じです。
気の流れを感じている場所辺りに矢印のお尻を付け、矢の方向を上、下、右、左、身体の内から外、外から内のように向けてみます。気の流れに沿った方向に矢をイメージすると流れは強く感じるようになります。身体の内側に感覚がある場合でも、身体の外に矢印を作った方が強まる場合があります。これは外から内へと気が流れているということです。
この方法はホームページにもエクササイズとして紹介していますので参考にしてください。
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